ぴかるのカルテ

リハビリの作業療法士がいかにくだらない毎日を過ごしているかを綴ります(笑)

レッドウィング探訪②職業別ブーツ編

レッドウィングの歴史で出た通り、様々な職業に特化した仕様のワークブーツが誕生し、人気を集めました。

うちには職業名を冠した4足のブーツがいます。

 

 

①レッドウィング2906 

ラインマン

ブライアー オイル スリック

2011年製

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ラインマンは電線工って意味です。

昔は工事中落っこちて亡くなる人が多かったそうで、それを防ぐために、他のブーツと比べてつま先に近いところまで紐が編まれていることでフィット感を高めようというブーツです。

このブーツはわたくしが持ってる中で唯一のシボ革素材です。レッドウィングでは珍しいんじゃないのかな?わたくしはあんまり見たことない。

そして大変柔らかい。もう赤ちゃんのお尻!

撫でるだけでご飯食える。2合までならいける。

ラインマンて正直写真だけみたら微妙って思ってたんだけど、実物見たら一目惚れした。

だいたいの人が1足目では選ばないだろうけど間違いなく隠れた名品と言っていい。

個性が爆発してる。悪く言えばアクが強い。

わたくしは好き(笑)

 

②レッドウィング3345

ブラックスミス

ブラックプレーリー

2022年製
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ブラックスミスは鍛治職人。

いい歳こいて厨二病を患うわたくしにはそのネーミングだけでご飯食える。2合半。

ロマンだよ。

ロマンを追いまくった結果、ブラックスミスは茶芯らしい。

茶芯とは....

昔のレザー業界では黒のレザーを作る時まだ表面だけでなく中芯まで真っ黒にする技術がなく茶色のレザーの上に黒を塗って仕上げていた。

なので経年変化の一環で、傷ついたりこすれたりした時に黒の下から茶色がチラリズムする。

その後、当時の製法と同じ染料が環境規制で使えなくなったり、芯までの黒染め技術が確立したりして、茶芯の革は絶滅した。

近年になって、茶芯のチラリズムはとっても味わいがあってオツな代物じゃないかという風潮が高まっていて、当時の雰囲気を味わえる様な重ね塗りを現代の塗料で再現したものが世に出ている。

ちなみに当時は茶芯なんてかっこよくも何ともなくボロとして扱われ上から黒マジックで塗られるなんてこともあったらしい。

 

茶芯マニアの方々、これで説明間違ってないでしょうか?

ちなみにわたくしは茶芯マニアではありません。茶芯だろうが黒芯だろうがカッコよきゃ良し。

 

話を戻します。

ちょい前のブラックスミス9160ももちろん検討しました。でもシルエットはベックマンと変わらないし、革も貴重なフェザーストーンではないからただの劣化版なのでは?

中古だからこそ妥協はしたくない。どうせブラックスミス買うなら現行モデル買いたい。

そしてラインナップにはアンバーハーネス採用の茶色ブラックスミスもある。

めちゃくちゃかっこいいんだけどブラックスミスなのにブラウンスミスはややこしい。

ということでブラックブラックスミス一択でしょ(笑)

と思ったら現行ブラックスミス品薄なんですよね。似たような茶芯のベックマンフラットボックス9060が人気すぎてずっとずーっと品薄なため茶芯ハンターがブラックスミスに流れてきてるようでドンピシャサイズにはなかなか出会えず、中古も新品もないときた。

そんな折、ヤフオクで飛びついたのがこの1足です。新品の6割位の値段でした。ちなみにわたくしのレッドウィングでは最高額。

つま先周辺に茶芯が出ていた。出品の写真ではあまり出てない雰囲気だったのに、実物はえぐれはないもののガリ傷茶芯だった。

ちょっと気に食わなかった。

じわじわ塗膜が薄くなって茶芯さんこんにちは✨がしたい。キレイめに履きたい。

 

塗ってやった。

顔料系の靴クリームで茶芯をお預けにしてやったぜ。

染料系の靴クリームだと茶芯を黒に染めてしまうことになるので、茶芯露出部分に顔料系の塗膜を被せてブラックプレーリーをリセットした。

邪道だと茶芯マニアにぶん殴られそうだけど、茶芯バージンはわたくしが奪いたい。

ということでブラックスミスの茶芯出しはやり直しである。全体的には茶芯具合が気に食わなかった以外は革質などかなりの美品なので、好みの出し方を追求して最高の茶芯ブーツに仕上げていきたいと思う。

 

 

③レッドウィング8111

アイアンレンジャー

アンバーハーネス

2010年製
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赤羽戦隊アイアンレンジャーは、日曜朝放送の戦隊ヒーローです。

嘘です。

レッドウィング本社のあるアメリカ、ミネソタ州北部の鉱山地域アイアンレンジで働く鉱夫のことを指しています。

当時の安全靴はまだ今のように鉄や強化プラの芯がつま先に入っておらず、革2枚張りで強度を上げていました。アイアンレンジャーはその意匠が特徴的です。あとは履き口がスネからふくらはぎにかけてシャキーンとせり上がる感じとか、履き口からハトメ周辺まで切りっぱなしになってるとことか、かかとの補強革が外側についてるとか(アウトポケットというらしいよ)、まさにワイルドを形にしたらこうなりましたみたいな感じ。

たまらん。ご飯3合いける。トンカツも付けちゃう。

このアイアンレンジャーは革種がアンバーハーネスです。最高に渋い経年変化してます。カッコ良さがインフレしちゃってまったくもう。

このアイアンレンジャーを買う時、セカンドストリートでネットから2足のアイアンレンジャーを取り寄せしました。離れた店舗の在庫を指定した店舗で現物みて買える画期的なシステムです。

皆さんも靴に限らず便利なのでお試しあれ。

2足のうち気に入った片方を買おうと思っていました。8111は即決。

もう一足は…

 

 

④レッドウィング8113

アイアンレンジャー

ホーソーン・ミュールスキナー

2009年製

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お分かりいただけただろうか。

敢えて買ってきたまんまの姿を載せた。

あれ?なんかおかしくね?

と思った方は正解です。このアイアンレンジャー、おかしいのです。

8113の革種はホーソーン・ミュールスキナー。

スエードです。

スエードってのは革の裏面を毛羽立たせてそよそよしてるやつです。

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これがホントの8113の新品写真。

アップにしたらこれ。やば。

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エイジングが進んだとしてもあまりにも異質な感じ。

ジジイの亀頭みたいな絵面だなッ

買いません買いませんこんなの買いませんってば。

これはたぶん前のオーナーがスエードにクリームを塗りたくり、毛足が潰れている状態。

わざとこれをやるのをバケッタ加工というらしい。

素人のバケッタ加工は無謀。サラサラヘアーをスーパーハードジェルで固めてそのままになってるような感じ。

たぶん市場での商品価値はないに等しい状態。

たぶんスエードの扱いが悪くて10円ハゲみたいになったのをどうしたもんかと悩んで、全体にクリーム塗っちゃお♪的な暴挙に出たのかなと想像する。

いやこうまでしといてあっさり売りに出すなよ。

 

こいつの処遇にはほんと悩みました。

そもそも買っていいもんなのかと。そもそもアイアンレンジャー2足要らんやろと。

でもマスク美人店員さんに買って欲しいなあ感を出されたら....調子乗っちゃって♡

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お迎えした後かなり悩んだのです。

復活を目指すべきなのか、ジジイ亀頭状態で行くのか。「みてみてあの人の靴亀頭みたいなんですけどーまじうける草」「亀頭の分際でかっこつけてマジダサい草」とか嫌すぎる。

でももうこのアイアンレンジャーには行き場がない。薄情なオーナーに塗りたくられた挙句見放されてほんと可哀想。

あたしに任せんしゃい!!面倒みたる!!

 

とりあえずこの状態に対して何ができるのかを

実験した。

一応スエードのお手入れってとりあえずブラッシング。効果なし。岩かってぐらい硬い。アイアンレンジャーがアイアンレンジになったんか。

ステインリムーバーで拭き取り。効果なし。

どうしたもんか。

どうしたもんか。

丸洗いも検討するけど取り返し付かなくなったらやだ。

よし、ダメ元でヤスリがけするか。

すりすり。

すりすり。

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あれ?なんか悪くない雰囲気じゃない?

亀頭感薄れて、雨の中の捨て犬感が出てきた(笑)

擬似エイジングというかウェザリング(汚し加工)みたいな。

嫌いじゃないかも。むしろ好物かも。

ご飯3合に明太子付けちゃおう。

潰れた毛足が少し復活して色もやや戻った。あえてやりすぎず半端な感じで仕上げる。

あれ?見方によっては8111と別方面でのワイルドさを引き出せたのでは?

革の銀面を擦るラフアンドタフ仕様(こっちは裏面だが)に近いことをやっているのか?

他人から見てどう映るのかはちょっと悩ましいところだけど、自分的にはスクラップからの華麗なる転身な感じになった8113。

粗めの毛羽立ちがありつつも光沢もあるみたいな不思議な感じ。

最悪な奴がちょっといい事したらなんか知らんけど評価バク上げみたいな?

最初から良い奴よりも評価高くなるのやめてくださいホント迷惑してます(笑)

でも手がかかる子ほど可愛いのもある意味事実。

これって正直革の耐久性的にはどうなん?平気なんやろか。通気性は既に死んでそうに感じるんだが。様子観察が必要ですな。

それにしても8111とは別路線でのワイルドさを確実に感じる。ブラックとシャドームーン的な感じか?

わたくしはシャドームーン派(笑)

ということで同時にうちにやってきた、同じアイアンレンジャーながら王道と邪道を歩む2足。これからが楽しみすぎる!!

 

 

こんな感じで職業別ブーツ編でした。

個性爆発なモデルばっかりですね。うちのは更に尖った珍個体ですけど。中古でしか味わえない醍醐味と言えなくもない。

うちのレッドウィングはこれで全部です。

こんなにあるくせにまだまだ気になるブーツはたくさんありますよ。いいお宝に出会ったらまたお迎えしちゃうかも。

ベックマンのブラックチェリー9411とか最高にドスケベな色ツヤしてる。

ベックマンフラットボックス9060のつま先だんだん薄くなるのとか最高に渋カッコイイ。ずっとずっとずーっと品切れだけど。

オロレガシーの875なんか新品から育成してみるのもいいなあとか。

みんな違ってみんないい。レッドウィングの魅力は言葉じゃ語り尽くせない。見て触れて履いてみないとたぶん伝わらない。

これから初ブーツ考えてる方、とりあえず新品でも中古でも試し履きしてみてほしい。ビビビッと来るものがきっとあるはず。中古なら廃盤シリーズも狙えるし。

 

朝玄関で今日どれ履こうかなとか考えたり最高に楽しい。ブーツが増え始めてから朝早起きするようになった。

お宝ブーツとの出会いに感謝。